「非認知能力」とは?——テストの点数では測れない力を、どう育てる?

「これからは非認知能力の時代」——教育関連の記事や広告で、この言葉を見かけることが増えました。なんとなく大事そうだけれど、正体がつかみにくい言葉でもあります。今回は、この流行の言葉を一度落ち着いて整理し、家庭でどう受け止めればいいのかを考えてみます。

非認知能力とは、ざっくり言うと

非認知能力とは、テストの点数やIQのように数値で測りやすい力(認知能力)に対して、数値では測りにくい心の働きや姿勢を指す言葉です。たとえば——

  • 最後までやり抜く力、粘り強さ
  • 好奇心、新しいことを面白がる力
  • 友達と協力する力、思いやり
  • 感情や行動をコントロールする力
  • 自分ならできると思える感覚(自己肯定感)

実は、この方向性は国の幼児教育の指針にも表れています。「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」には、「自立心」「協同性」「思考力の芽生え」「豊かな感性と表現」といった項目が並びます。読み書き計算の到達度ではなく、心の育ちに注目する——非認知能力という言葉が輸入される前から、日本の幼児教育が大事にしてきた考え方と重なる部分が大きいのです。

「非認知能力ブーム」との距離感——二つの見方

一方には、この概念への大きな期待があります

学力テストの点数だけでは子どもの将来は語れない、粘り強さや好奇心こそが長い人生を支える——という考え方は、多くの親御さんの実感にも合うのではないでしょうか。点数化されない力に光を当てたこと自体は、この言葉の大きな功績だと思います。

他方には、慎重な見方もあります

「非認知能力」は流行語になった結果、「非認知能力が伸びる教材」「非認知能力を測定します」といった商品・サービスの宣伝文句としても使われるようになりました。しかし、そもそも「測りにくい力」だからこそ非認知と呼ばれているわけで、「これをやれば確実に伸びる」と断言できる方法は、現時点で確立されていません。魅力的な言葉ほど、宣伝に使われるときは少し立ち止まって見る——そんな距離感が健全だと思います(マナビバの記事である本稿も、その目で読んでいただいて構いません)。

では、家庭では何を手がかりにすれば?

特効薬がないとすれば、頼れるのは地道な傾向です。国立青少年教育振興機構の調査では、自然体験や生活体験が豊富な子どもほど自己肯定感が高く、自律的な行動習慣が身についている傾向が、家庭の社会経済的背景によらず報告されています。特別な教材より、夢中になれる体験の積み重ね——遊び、手伝い、外遊び、ものづくり——が、結局のところ一番の近道かもしれない、ということです。

  • 失敗しても大丈夫な挑戦の場を用意する——うまくいかない→工夫する→もう一度やる、という経験は、粘り強さの練習そのものという見方があります。ロボットづくりのように「失敗が前提」の活動は、その一例です。
  • 結果より過程に声をかける——「できたね」だけでなく「最後まで粘ったね」「その工夫、面白いね」。何に注目して声をかけるかで、子どもが大事にするものも変わっていく、という考え方があります。
  • 子どもが選ぶ余地を残す——自分で選んだことは、頑張りが続きやすいものです。

まとめ——正解は、お子さんの中にあります

非認知能力は、「買って伸ばす」ものではなく、日々の遊びと体験の中で少しずつ育っていくもの——現時点で言えるのは、その程度の控えめなことだと思います。ただ、控えめであることと、大事でないことは違います。お子さんが何かに夢中になり、失敗し、それでも続けている姿があったら、それはもう育っている最中なのかもしれません。そういう姿を見つける場の一つとして、体験の機会を活用してみてください。

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参考・出典

※本記事は公開時点の公的資料・調査等をもとに作成しています。調査結果は傾向を示すものであり、個々のお子さんに当てはまるとは限りません。

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