幼児教育で本当に大切なことは?——「10の姿」と、遊びのなかの学び

「小学校に上がる前に、ひらがなや数字はどこまでできればいいの?」「早くから英語をやらせたほうがいい?」——幼児期のお子さんを持つ方から、よくいただく質問です。幼児教育というと「早めの勉強」を思い浮かべがちですが、実は国の指針が示している方向は、少し違うところにあります。

国の指針が示す「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」

平成29年に告示された幼稚園教育要領や保育所保育指針などでは、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として、次の10項目が示されています。

  • 健康な心と体
  • 自立心
  • 協同性
  • 道徳性・規範意識の芽生え
  • 社会生活との関わり
  • 思考力の芽生え
  • 自然との関わり・生命尊重
  • 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
  • 言葉による伝え合い
  • 豊かな感性と表現

眺めてみると、「計算ができる」「字が書ける」といった到達目標ではなく、関心・感覚・芽生えという言葉が並んでいることに気づきます。文字や数についても「読み書きの習得」ではなく「関心・感覚」。つまり国の幼児教育の考え方は、教え込むことよりも、遊びや生活のなかで心が動く経験を重ねることに重心を置いているのです。

体についても同様で、文部科学省の「幼児期運動指針」は、幼児は毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましいとしています。ここでも鍵になるのは「楽しく」。トレーニングではなく遊びとして、です。

「早く始めるほど有利」か、「遊び込む経験が土台」か

一方には、「早期スタート」を重視する考え方があります

文字も数も英語も、早く始めればそれだけ慣れる時間が長くなる、小学校入学時のつまずきを減らせる、という考え方です。実際、入学前にある程度の読み書きに親しんでいると本人が安心しやすい、という面はあるでしょう。お子さん自身が文字や数を面白がっているなら、その興味を止める理由はありません。

他方には、「幼児期は遊び込むことが先」という考え方があります

先ほど見たように、国の指針はどちらかといえばこちらに近い立場です。夢中で砂山を作る、虫を追いかける、ごっこ遊びの役になりきる——そうした「遊び込む」経験のなかで、思考力や協同性、感性の土台が育つ、という見方です。この立場からは、幼児期に机上の学習を詰め込みすぎることには慎重な声もあります。

ここでも、どちらか一方が正解というわけではありません。目安になるのは、お子さんがそれを楽しんでいるかどうか。同じ「ひらがなの練習」でも、本人が面白がっていれば遊びですし、嫌がっているのに続ければ苦行になります。

スクリーンとの付き合いは、ほどほどに

なお、幼児期のタブレットや動画については、WHO(世界保健機関)が2019年のガイドラインで、2歳未満にはスクリーンタイムを推奨せず、2〜4歳は1日1時間未満・少ないほど良い、という目安を示しています。幼児期はまず、体を動かす遊びと、人とのやりとりを優先——というのが国際的な目安のようです。発達で気になることがあれば、かかりつけ医や自治体の相談窓口にご相談ください。

まとめ——正解は、お子さんの中にあります

幼児教育で大切なのは「何歳までに何ができるか」の競争ではなく、心と体が動く経験をどれだけ重ねられるか——国の指針からは、そんなメッセージが読み取れます。ブロックを組んで、動かして、壊れて、また作る。マナビバの幼児向けコースも、そうした「夢中の遊び」の延長にある学びの場です。この時期のお子さんに合うかどうかは個人差が大きいので、まずは実際の様子を見にいらしてください。

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参考・出典

※本記事は公開時点の公的資料・調査等をもとに作成しています。お子さんの発達に関するご心配は、かかりつけ医や専門機関にご相談ください。

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